【現地レポート③】より強い1対1を手に入れるために
2021年1月5日
結果と成果は似て非なるものだ。結果はついてこなかったが、成果は十分に発揮することができた。そんなゲームもある。
「Jr.ウインターカップ2020-21 2020年度 第 1 回 全国 U15 バスケットボール選手権大会 (大会呼称:Jr.ウインターカップ2020-21)」の女子 2 回戦、波田グリーンパンダーズ (長野) は丸亀市立西中学 (香川) に59-80で敗れた。結果はついてこなかったが、練習してきたコンタクトに強い 1 対 1 は、ディフェンス力のある丸亀市立西中学をも苦しめるものだった。
波田グリーンパンダーズには 2 人のエースがいる。#4 かせ野夏海と #5 土屋湖白である。
「初めての全国大会だったんですけど、ミニバスのころから磨いてきた 1 対 1 がこの舞台でもしっかり通用するんだなと感じられました」
36得点をあげたかせ野が手応えを口にすると、19得点で続いた土屋も同様に答える。
「ミニバスの頃から身長が小さくて、ドライブしか自分には持ち味がないので、相手と当たったときに強く……家でも強く、強くって言いながら練習をしてきて、相手には絶対負けない気持ちでやってきました」
彼女たちの持ち味は、単なるハンドリング力やクイックネスだけではない。丸亀市立西中学のハードなディフェンスに対して、最後の最後、お互いがコンタクトをした状況でもシュートを決めきるところにある。
2 人を小学生のころから指導する小澤公一ヘッドコーチも、そこに成果を感じるところだ。
「女子なので、とにかくコンタクトを強くしたいなと考えてきました。練習でも、常に当たってシュートを打ちにいくなど、コンタクトのある練習を入れていたので、そこは負けてほしくないところの 1 つでした。そこは丸亀市立西中学さんにもやれたかな……自分たちのやってきたことが全国でも通用するんだなと感じました。ただ……」
小澤コーチは続ける。
「ただ 1 対 1 だけじゃ……」
小澤コーチとしては 2 人の 1 対 1 をベースにしつつ、そこからの合わせ、キックアウトからの 3 ポイントシュートも練習してきた。しかし 2 人のエースは身長差で勝る分、一人でこじ開けようとしすぎてしまった。小澤コーチの言葉を借りれば 「1 対 1 にこだわりすぎ」 てしまったのである。
もちろん敗因はそれだけではない。2 人のファウルがかさんでしまい、途中から思い切りの良さが出させられなかったこと、ベンチメンバーを成長させきれなかったこと。コーチとして悔やむところもある。
1 つの成果は、一方で今後の課題にも通じるというわけである。
課題はもちろんかせ野、土屋にもある。2人が同時に挙げたのは体力面での強化だ。かせ野が「どんどん体力がなくなっていってしまった」と認めるとおり、波田グリーンパンダーズは第 1 クォーターが23点、第 2 クォーターが16点、第 3 クォーターが15点、そして最終第 4 クォーターはわずか 5 点しか取れていない。
土屋は反省を込めて、今後に向けてこう語っている。
「私は体の線が細くて、ご飯も食べられないんです。でもやっぱりご飯を食べて、しっかり体づくりをしてから臨まないと、今日もヘルプディフェンスが来たときに当たるのが怖くて、避けていたところもありました。それが今日の敗因の 1 つでもあるので、今後はしっかり体づくりからやっていきたいです」
コンタクトに負けないメンタリティーは波田グリーンパンダーズで養ってきた。その 1 対 1 をより強くするための次なる一歩は体づくり、端的に言えばご飯をしっかり食べることである。しっかり食べて、しっかり動く。それに気づいた彼女たちはまだまだ強くなれる。