現地レポート

大会プレビュー

2021年1月3日

 中学生年代の「真の日本一」を決める大会が始まる。
「Jr.ウインターカップ2020-21 2020年度 第 1 回 全国 U15 バスケットボール選手権大会 (大会呼称:Jr.ウインターカップ2020-21)」が 1 月 4 日から 7 日まで、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザでおこなわれる。

 これまで中学生の全国大会といえば、夏の「全国中学校バスケットボール大会」、いわゆる “全中” と、3 月におこなわれていた「都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会」、いわゆる “ジュニアオールスター” の 2 大会だった。そのうち “ジュニアオールスター” が2019年の第32回大会をもって幕を下ろし、新たに立ち上がったのがこの「Jr.ウインターカップ2020-21」である。

 この大会は中学の部活動だけでなく、クラブチームと B.LEAGUE の各チームが所有するユースチームも参加する、カテゴリーを超えた大会である。それが「真の日本一を決める大会」と称するゆえんでもある。全国47都道府県、それぞれの予選を勝ち抜き、推薦された男女各47チームがトーナメント形式で頂点を目指す。

 今大会の狙いは “強化” だけではない。バスケットボールの “普及”、未来ある選手たちへの “育成” の要素も込められている。どのチームも勝利と、その先にある優勝、日本一を目指しながら、ゲームの中で得た経験を今後に生かしてほしい。「経験のスポーツ」ともいわれるバスケットボールだが、経験を積むだけでは意味がない。その経験をいかに生かすか。生かすための経験を取りに行くのが「Jr.ウインターカップ」というわけである。

 歴史や伝統はコピーできない――スポーツライター、故・山際淳司氏の書籍 (『自由と冒険のフェアウェイ』中公文庫) にそんなフレーズがあった。技術や戦術はあるいはコピーできるかもしれない。近いところで言えば、ウインターカップ2020を制した仙台大学附属明成 (宮城) や桜花学園 (愛知)、東山 (京都)、東京成徳大学 (東京) のそれらを真似ことはできる。ものまねは上達の第一歩だからだ。

 しかし彼らが築き上げてきた歴史や伝統は真似できない。今大会に挑む全94チームの歴史や伝統は、他ならぬ現役の選手たちが自らの手で築くしかないのだ。大会の歴史も同様である。大会の歴史は出場選手たちの手によって、その 1 ページ目が刻まれる。いや、彼ら、彼女らでしかその 1 ページ目は刻むことはできないのである。

 新型コロナウィルスの影響でたくさんの試合が中止に追い込まれた2020年。そんなコロナ禍で開催される「Jr.ウインターカップ2020-21」だが、目指すのはどのチームも同じ頂点だろう。しかしどんな結果になろうとも誇り高く、磨き上げてきたバスケットを貫いてほしい。
 日本のバスケットの未来はみなさんの手の中にある。

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